レビュー

10回続いた「サロン・ド・アール・ジャポネ」から生まれ変わった 
ジャポニカ – 日本美術の小さな宝物たち –

国内外で美術展の運営をおこなっている株式会社麗人社は、フランス・パリのリンダ・ファレル・ギャルリーとのコラボレーションにより、2018年に「日本美術- 和魂洋才」を開催し、2019年から2025年までは「サロン・ド・アール・ジャポネ」を10回にわたって続けてきた。
日本の美術作品を芸術の都・パリの人々に紹介するというコンセプトはそのままに、この展覧会は2026年春、「ジャポニカ - 日本美術の小さな宝物たち -」として、新たな一歩を踏み出した。これまでの開催を通じて見えてきた、「家庭に飾りやすいサイズの作品をたくさん観たい」というパリのアートファンの要望に応え、小さめでも日本のアーティストの美意識が十分表現された作品を発信する場として刷新されたのだ。

今回の「ジャポニカ展」では、112名のアーティストの作品を3会期に分けて展観。前述の通り、これまでの「サロン・ド・アール・ジャポネ」と大きく異なる点は、作品の長辺が42cm以内(額を含む)と、よりコンパクトになったことだ。

 

第1会期 [3月11日〜3月16日]

朝からの雨も午後には上がり、好天のもとに迎えた「ジャポニカ展」初日。気温は少し低かったものの、「サロン・ド・アール・ジャポネ」時代からのファンを含め、日本美術との再会を待ちわびていた来場者の熱気で、展覧会場は盛り上がりを見せた。

 

第2会期 [3月18日〜3月23日]

この会期の来場者には、作品について饒舌に語る人が多かったようだ。日本から渡航した出展者にも興味津々で、あちらこちらで芸術談義に花が咲いていた。オーナーのアヌッシュ・マスク氏の計らいで、ヴェルニサージュでは画廊の入口前でも飲み物の提供がおこなわれた。

 

第3会期 [3月25日〜3月30日]

日本の三寒四温を思わせる、比較的寒い日々が続いたこの会期には、暖かな画廊内でじっくりと作品を鑑賞する来場者が多かったようだ。「サロン・ド・アール・ジャポネ」時代と比べて、コンセプトがさらによくなったという意見なども聞かれた。

 

総合監修を務めたフランス芸術家協会(ル・サロン)絵画部門代表のアラン・バザール氏は、展覧会終了後に次のような言葉を寄せている。

これまでこの画廊で開催された日本美術展同様、全ての出展者たちの尽きることのない創造性に、来場者は3会期を通して魅了されていたようです。日本的なアイデンティティーと西洋的なインスピレーションとの融合による多彩なジャンルの作品それぞれが、高いクオリティーを示していました。

総合監修を務めたアラン・バザール氏(フランス芸術家協会絵画部門代表)

総合監修;アラン・バザール氏

 

3会期それぞれで最優秀賞(下記)が選ばれ、さらにそこからグランプリ1名が決定された。
百兵衛ONLINEでは、グランプリを受賞した倉橋完治氏のインタビューの掲載を予定している。

【第1会期最優秀賞受賞作品】
壬生 スワン《山と雷》

 

【第2会期最優秀賞受賞作品】
やまのいまこと《ひねもすのたり》

 

【第3会期最優秀賞・グランプリ受賞作品】
倉橋 完治 《太古の聲 S-3》

3会期連続で展覧会場を訪れた美術ファンもいたことなどから判断すると、この試みはおおむね好意的に迎えられたのではないだろうか。こうして、日本とフランスをつなぐ新しい芸術の物語が始まった。

 

リンダ・ファレル・ギャルリーについて
パリ右岸シャイヨー宮のあるトロカデロ広場からは、最も美しい真正面からの眺めでエッフェル塔を臨むことができる。この有名な広場が位置する16区は、パリでもハイクラスエリアとして知られる場所。また、この界隈には富裕層のアートコレクターなども多く暮らしている。本展の会場であるリンダ・ファレル・ギャルリーは、ギメ東洋美術館やパレ・ド・トーキョー、パリ市立近代美術館などが点在する16 区のロンシャン通り沿いに2006 年に開廊した、幅広い層のアートファンが集う画廊である。