アーティスト

菊川天照 インタビュー
──菊川動物園へようこそ!

聞き手・文/REIJINSHA GALLERYスタッフ

REIJINSHA GALLERYにて8年ぶりの個展を開催する菊川天照。作家として、そして社会人としての経験を重ねてきた今、どのような思いで本展に臨むのだろうか。同ギャラリースタッフが展示や制作への想いを聞いた。

 

◆8年ぶりの個展

会場に並べられた立体作品

会場に並べられた立体作品

 

──REIJINSHA GALLERYでは2018年以来、8年ぶりの個展開催となります。今の心境はいかがですか?

有り難い機会をいただいて、本当に感謝でいっぱいです。8年前の個展が私にとって初めての個展でしたが、20代前半だった私ももうすぐ30歳になります。気が付けばすっかり大人ですね。

──年齢を重ねたことで何か変化は感じておられますか?

作品を制作する時の楽しさやワクワク感は今でも変わりません。少しは進化できたのかな? 作品に進化があるのか分かりませんが(笑)。これまでいろいろあって、とても楽しく充実していました。そんな8年間を共に駆け抜けた作品たちを、皆様に観てもらい楽しんで頂けたらなと思います。

──8年前と比べて、制作に対する考え方に変化はありますか?

根本的な考えは変わりませんね。楽しく、好きに、思うがままに表現するということは常に意識しています。
それでも、まだ学生だった当時に比べれば、現在は働いているぶん、出会う人の数も年齢の幅も広がりました。沢山の価値観に触れることで、自然と自分の作品もいい意味で年齢を重ねたのかもしれません。まぁ、パッと見では全然変わってないですけどね(笑)。

──世界観がぶれていないというのは、作家としてとても大切なことだと思います(笑)。

  

◆美術とお笑い

コンビ「キクバリ」として漫才を披露する菊川

コンビ「キクバリ」として漫才を披露する菊川

── 現在、公立高校で教鞭を執りながら制作活動に取り組まれている菊川さんですが、お笑い芸人としての一面もお持ちでいらっしゃいますね。なんと、昨年の「M-1グランプリ」では3回戦まで進出されたと伺いました。
アートとお笑い、一見すると全く異なる分野に見えますが、ご自身の中で共通する部分はありますか?

私の中では、美術もお笑いも「表現」という同じ棚に陳列された同じものという感覚ですね。想いを伝える手段が違うだけな気がしています。筆とキャンバスを使えば美術に、台本と言葉を使えばお笑いになる。

──つまり、美術もお笑いも、菊川さんにとっては同じ“表現の手段”ということなんですね。

どちらも、自分が面白いと思ったことを人に伝えるという点で共通しています。ただ、見た人の反応はお笑いの方が露骨でシビアですけどね(笑)。

ワクワクと痕跡

──菊川さんの作品において「楽しいと感じることが重要」というお話を伺いました。具体的にはどういった瞬間に楽しいと感じますか?

自分の頭の中にアイディアが浮かんだ時に、まずワクワクして楽しいですね。そこから頭の中のイメージを現実世界に再現するんですが、そこでは大抵うまくいかないです。けど、たまに「イメージとは違うけどこれはこれで良いな!」と思う作品と出会える時があり、それもまた楽しい瞬間ですね。
ガチャガチャと似ています。実際にイメージの蓋を開けてみないと何が出るか分からない感じです。

──モチーフを膨大な数の点で描く表現も、菊川さんの作品の代表例です。これにはどのような意図があるのでしょうか?

こどもの頃から細かく描くのが好きでした。高校生の頃にはデッサンで細かく描き込むことに興味を持ち、大学に進学したら細かく時間をかける作品を制作しました。手作業で一つ一つ点を描くことで、時間をかけて自分の痕跡を残している感じが好きです。

出展作品《ヘビ1》2023年 アクリルガッシュ、ペン/キャンバス 24.2×33.3cm

出展作品《ヘビ1》2023年 アクリルガッシュ、ペン/キャンバス 24.2×33.3cm

 

広がる表現とこれから

──今回の個展では粘土、アクリルガッシュ、木材を使ったものなど40点を超える多様な作品が並びますが、多岐にわたる素材を使うことで見えてきたものはありますか?

制作の楽しみが増えましたね。素材や支持体の選択肢が増えたので、自分のイメージに近いものを選ぶことができ、表現の幅も広がっています。自分の気分に合わせて制作のスタイルを選べるのが面白いです。そして、平面作品で感じたことは立体作品に、立体で感じたことは平面作品に、それぞれ良い刺激になっています。

会場で作品を確認する菊川

会場で作品を確認する菊川

 

──今後の制作で挑戦したいことはありますか?

絵具や色鉛筆、粘土など様々な素材で制作に挑戦してきたので、これからも一つのスタイルに固執せず、自分の気持ちに素直に作品と向き合っていきたいです。今と真逆で写実的な細密画に挑戦するのもありかもですね。

──最後に、会場へお越しになる皆様へメッセージをお願いします。

ユニークな生き物たちを集めた菊川動物園です。見たままの面白さを楽しんでいけたらなと思います。特に専門的な学名が書いてある訳ではありませんが、題名は書いてありますので安心してください。制作している時のワクワク感が少しでも伝われば幸いです。皆様のご来場を心よりお待ちしております。


“面白い”という感覚を追求し続けてきた菊川の作品からは、創造する喜びが溢れている。多彩な色彩と造形の世界を、ぜひ会場で体験してほしい。
菊川天照個展「イロとカタチとイロイロと」は3月13日(金)から、REIJINSHA GALLERYで始まる。

 

[Profile]
菊川 天照 Tensho Kikugawa
1996年
熊本県生まれ
2013年
第5回SOJOビエンナーレ2013審査員特別賞受賞(崇城大学ギャラリー/熊本)
2016年
第18回雪梁舎フィレンツェ賞展(雪梁舎美術館/新潟、東京都美術館)
2017年
FACE展2017損保ジャパン日本興亜美術賞展(東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館/東京)
FACE展選抜作家小品展2017(REIJINSHA GALLERY/東京)
2018年
REIJINSHA GALLERY`S EYE Vol.1(REIJINSHA GALLERY/東京)
18thアートinはむら展(ゆとろぎ美術館/東京)
個展(REIJINSHA GALLERY/東京)
2019年
東京学芸大学中等教育教員養成課程美術専攻卒業
東京学芸大学大学院教育学研究科教科領域指導美術・工芸プログラム入学
2021年
pickup2021(REIJINSHA GALLERY/東京)
二人展(アルーク阿佐ヶ谷/東京)
東京学芸大学大学院教育学研究科教科領域指導美術・工芸プログラム修了
2023年
個展「点と形といきものたち」(Art Gallery TOKYU PLAZA GINZA /東京)
2025年
猫会議2025(REIJINSHA GALLERY/東京)※’24年出展
2026年
個展「イロとカタチとイロイロと」(REIJINSHA GALLERY/東京)
現在、東京都にて制作
Instagram ten.k_works

[information]
菊川天照個展 イロとカタチとイロイロと
・会期 3月13日(金)〜3月27日(金)
・会場 REIJINSHA GALLERY
・住所 東京都中央区日本橋本町3-4-6 ニューカワイビル 1F
・電話 03-5255-3030
・時間 12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
・休廊日 日曜日、月曜日
・URL https://linktr.ee/reijinshagallery