展覧会

春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪

 

会場:府中市美術館 会期:3/14日(土)~5/10(日)


東京では64年ぶりの本格的な蘆雪展で
21世紀の長沢蘆雪の姿に触れる

府中市美術館では、3月14日(土)から5月10日(日)までの会期で「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」展が開催されている。同館では2001年秋の「司馬江漢の絵画 西洋との接触、葛藤と確信」を、その後は2005年の「百花の絵」以降、毎年春に江戸絵画を中心とする展覧会が開かれてきた。しかし、残念ながらこの江戸絵画の展覧会シリーズは、今回で幕を下ろすことになるそうだ。
そんな人気シリーズに欠かせない画家の一人が、江戸時代中期の画家・長沢蘆雪。彼を大きくクローズアップするこの展覧会は、東京では初の本格的な蘆雪展となる。これまでの「春の江戸絵画まつり」でも取り上げられてきた蘆雪のさまざまな創作を振り返りながら、「21世紀の蘆雪」の姿に触れてほしい。

長沢蘆雪《菊花子犬図》画像

長沢蘆雪《四睡図(部分)》 本間美術館 後期展示

子犬や子どもなど「かわいい」があふれんばかりの蘆雪ワールド

美術の魅力や価値は時代によって変わる。例えば伊藤若冲は、明治時代から根強い人気があった画家だが、サイケデリック・アートなどが流行していた1970年、辻惟雄氏の著書『奇想の系譜』によって、その鮮烈で奇異な表現が注目された。また、2000年に京都国立博物館で開催された「没後200年 若冲」展を機に、細密さや色彩の凄みに多くの人が魅了されるようになった。コンピューターを使ったグラフィックや映像が普及した時代らしい話である。そんな変遷を経て、今日の若冲の人気が確立されたのではなかろうか。
蘆雪も同様である。明治36年(1903)に『近世絵画史』で藤岡作太郎は、ときにアイディアと構成力は応挙を上回ると評価し、大勢いる応挙の弟子の中で呉春とともに真っ先にその名を挙げた。しかし藤岡は、「覇気」が溢れ出てしまい応挙のような落ち着きや深みがない、とも書いている。一方『奇想の系譜』では、その「覇気」が逆に奇想として注目され、一躍、日本美術のスターの一人になった。
そして21世紀。たくさんのキャラクターや動物が人気を集めるこの時代にあって、蘆雪のもう一つの魅力が脚光を浴びるようになった。それが「かわいい」である。子犬などの動物、子どもたちを描いた蘆雪の作品は、見ているだけで胸が苦しくなるほど、愛おしさにあふれている。きっと大昔から、人々は小さなものやかわいいものに心を寄せてきたのだろう。蘆雪はそうした心を一枚の絵画の中に表現し、江戸時代きっての「かわいいもの描き」となった。それに加えて、風景や人物、ファンタスティックな世界など、その絵画世界は多彩だ。蘆雪の根底にある禅の思想や、命あるものを慈しむ仏教の教えにも注目したい。

長沢蘆雪《唐子遊図襖(部分)》画像

長沢蘆雪《唐子遊図襖(部分)》 個人蔵 前期・後期展示

展覧会の見どころ

前期:子犬の絵の歴史と蘆雪
観る者の心をつかんで放さない蘆雪の子犬。かわいくて、愉快で、ときに頼りないような描写は、どんな歴史の上に生まれたのだろうか。俵屋宗達や円山応挙らの作品とともに、蘆雪の子犬を展覧会場で心ゆくまで鑑賞すれば、それが分かるはずだ。

長沢蘆雪《菊花子犬図》画像

長沢蘆雪《菊花子犬図》 個人蔵 前期・後期展示


後期:無量寺の竜と虎を考える

蘆雪の代表作として名高い串本・無量寺の竜と虎の襖絵。この作品が傑作であることに異論はないだろうが、この二つの襖絵はまた、蘆雪が様々な作品で追究した「雲を呼び雨を降らせる竜」の一作であり、禅の世界から生まれた虎キャラクターの一作でもあった。無量寺の竜と虎を、もっと深く、面白く楽しむため、この展覧会ではさまざまな工夫を加えて展示される

長沢蘆雪《虎図襖(部分)》画像

長沢蘆雪《虎図襖(部分)》 無量寺・串本応挙芦雪館、重要文化財 後期展示

関連イベント

展覧会講座「長沢蘆雪と春の江戸絵画まつり」
日時:5月3日(日)14:00より(90分程度)
講師:金子信久(府中市美術館学芸員)
会場:府中市生涯学習センター講堂(府中市美術館より徒歩5分)
参加費:無料 ※予約不要

子ども向けイベント「ろせつ探検隊!」
展覧会を見ながら「探検隊ワークシート」のクイズに挑戦
※観覧料が必要だが、府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」で入場可能
※年齢制限はなく、大人も参加も可能
日時:会期中随時

長沢蘆雪《狗児図扇面》画像

長沢蘆雪《狗児図扇面》 本間美術館 前期展示

同時開催

・コレクション展特集展示「風景に遊ぶ」
・公開制作94 石川卓磨

[information]
春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪
・会期 3月14日(土)~5月10日(日)
前期:3月14日(土)~4月12日(日)
後期:4月14日(火)~5月10日(日)
※前・後期で作品の大幅な展示替えを実施
・会場 府中市美術館 2階企画展示室
・住所 東京都府中市浅間町1-3(都立府中の森公園内)
・時間 10:00~17:00(展示室入場は16:30まで)
・休館日 月曜日(5月4日は開館)
・観覧料 一般800円、高校生・大学生400円、小・中学生200円
※未就学児は無料
※府中市内の小・中学生は「府中っ子学びのパスポート」提示で無料
※障害者手帳(ミライロID可)等をお持ちの方と付き添い1名は無料
※本展観覧料でコレクション展も観覧可能
・TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
・URL https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/2026_Rosetsu.html